松阪の土壁の家⑫  地盤の話

さて、この家の地盤作りの話だが、よく考えたら、このシリーズの一番最初に書いていた。 →  松阪の土壁の家 2016年10月2日 そこに書いてある通り、地盤は、土建屋さんに頼まず、土木のプロであるお施主さんと木神楽のメンバーで、一緒に作った。 この家を建てる場所は、あまり地盤が良くなかった。だから土壁の重さはあるにしろ、屋根やその他でなるべく軽量化を図ってある。 50センチ近くかさ上げしたのは、道か... Read More

松阪の土壁の家⑪ 三和土工事は、ハードワークである

さて、松阪の家の玄関三和土は、小山左官が叩いて作った。 そして、玄関外のポーチの三和土は、何とお施主さん施工である。 叩いて作っていく過程は、非常に単純明解だが、中々奥が深い。 土の配合、叩き締める具合、そして苦汁の役割など、非常に興味深いものだ。 工程の写真は無いが、何層にも渡って順々に叩いていく。最後は、表面が黒光りするくらいまで叩き締める。 使う道具は、左官屋手作りの、叩き棒だ。 その棒を使... Read More

松阪の土壁の家⑩ 三和土とは

松阪の土壁の家は、施主さんのこだわりが半端ない。 そのひとつが、コンクリート、セメントに頼らない家作りを追求している、というところだ。 通常の家作りにおいては、コンクリートやセメントを使わないなんてことはあり得ない。 実は、木造住宅程度なら、必ずしもコンクリート基礎は必要でないと自分も考えている。もちろん、それには、それなりの条件はある。 その条件とは、地盤、間取り、そして構造だ。 さて、昔から建... Read More

松阪の土壁の家⑨ 漆塗りの床

いつまで経っても終わらない松阪の土壁の家のはなし ここの現場はこだわりの固まり。自分もとことん考えて設計したし、職人もとことんやったと思う。 しかし、やり過ぎて、採算が取れているのかどうかは分からない。 そんなやり過ぎてしまった、こだわりポイントを少しづつ紹介しよう。 トイレの床に漆を塗りたい 実は10年以上前の現場で、トイレの床に漆を塗ったことがあった。 → 半田の家 それを見た施主さんが、うち... Read More

松阪の土壁の家⑧ 外壁編

過去工事シリーズ、松阪編を久しぶりに書こう。 前回は、荒壁付けまで来たので、そこからの造作工事について書く。 さて、土壁が乾いてきたところで、造作が始まる。 まずは外壁周りからだが、外壁を張る前に、大直しと言って、荒壁の上に土を塗る。 これによって、土壁の強度が増すのだ。 杉の赤身板を張る さて外壁は、杉の赤身板を縦張りにした。 張り方にもこだわったが、それは写真を見て感じてもらいたい。 名付け... Read More

松阪の土壁の家⑦ 荒壁ワークショップの巻

次の工程は、いよいよ待ちに待った荒壁付け。 これは、去年の6月末くらい。ちょうど梅雨の中休みにうまく決行できた。 いちおう言っておくが、泥んこ遊びでは無い。しかし皆楽しそうだ。 家作りの重要な工程であるから、決して手を抜けないのだが、泥だらけになって泥を捏ねるのは何故だか楽しい。 参加した誰もが笑顔になってしまうこの荒壁練り。素足になって足で踏む。これによって土の固さ、水やスサの量を調節する。ず... Read More

松阪の土壁の家 Part6 えつりを掻く

そして、えつり掻きが始まった。えつりとは竹小舞のことである。 古い日本家屋で、崩れた壁の中から露出していたりする、アレだ。 竹は、外に置いておくと、直ぐに虫に食われたりしてボロボロになるが、乾燥した土の中に入って外気と遮断されていると、100年でも200年でも持つ。   さあ、ここからは、ささっと説明してしていく。 これは準備した材料。小山さんが前年の秋、新月前後に切り出した真竹。 ち... Read More

松阪の家 土壁下地について

《松阪の土壁の家 Part5》 これは2016年5月頃のお話。 いつまでも去年の話を書いてる訳にいかないのだが、書くことがたくさんありすぎて、中々進まない。 さてさて、建前が終わり、いよいよ土壁付けに入る松阪の家。ここで使用する竹は、全て地元の山から切り出したものだ。 土は、この前年から現場でプールを作り、藁をたくさん掘り込んで、寝かしてあったもの。何もかも大変手間が掛かっているのだ。 そしていよ... Read More

松阪の土壁の家、建て前をする

《松阪の土壁の家 Part4》 これはちょうど1年前の話。 さて、構造材の墨付け、刻みがどんどんと進んでいくが、実はそれと同時に、鳥羽の土壁の家の準備も始まっていた。刻みが終わらないうちに、鳥羽の家の材料が工房にどっと入ってくる。 そして建て前は、5月末日と決定、そしてそのすぐ後6月1日に鳥羽の家の建て前も決定するという、とてつもなくハードなスケジュールとなった。どちらも梅雨に入る前ギリギリである... Read More

松阪の土壁の家 つづき

随分と間が空いてしまったが、松阪の土壁と石場建ての家のつづきを書く。 前回は、ヨイトマケが済んだとこまでだったはず。 そしてこの様な、石を並べた基礎が出来上がった。どう見ても遺跡の様。これは、去年の4月頃の写真。 (因みに、現場は去年の秋に完成し、国産薪ストーブも付いて、お客様が暮らし始めてます。) さて此処からが、大工達の腕の見せ所。石場建てと言って、柱をまず石に建てる構造。当然、通常とは全然... Read More

よいとまけ

松阪の土壁の家さて、ようやく地盤が出来上がり、いよいよ基礎を作ることになった。 もちろん基礎もコンクリートは使わない。昔ながらの方法で、地面を突き固め、石を据えていくのだ。地面を突き固めるために、櫓を組み滑車を付け、ロープを張り、重い丸太を取り付ける。そしてただひたすらロープを引き、丸太を落として地面を固める。地面が固まってきたら石を据え、またさらに突く。石は、菰野石を使用。殆どの石は、天端を石屋... Read More

松阪の土壁の家

現在、左官工事中のこの現場。 「石場建ての家を建てたい」 と言う、強い意志を持ったお客様との出会いから始まりました。 お客様は、土木のプロ。 伝統的な家づくりをしたい、という強い想いと、お客様ご自身の経験からコンクリート、セメントの類いは一切使わず、作業を進める事になりました。 先ず取り掛かったのは、地盤を造ること。 50センチ近くカサ上げするため、通常は杭打ちか改良材を使う所、砕石や割りぐ... Read More