家を持つものなら一度は憧れる薪ストーブ。
うちへ来られるお客様も高い確率で、薪ストーブの設置を望まれる。
しかし、決して誰もが取り付けられる訳ではない。
何しろ薪ストーブは、燃料の薪がたくさん要るのだ。
いいストーブは二次燃焼が主流で、たいへん燃費が良いらしいのだが、それでもひと冬越すには、大量の薪を用意せねばなるまい。
それが出来る見込みがあって、初めて薪ストーブオーナーへの道が開かれる。
そして、次の関門として高効率の薪ストーブはそれなりに値段が高い。
煙突工事まで入れると大体100万前後になってくる。
そこまで掛けてでも欲しいと言う人のみが、薪ストーブユーザーになれるのだ。
(追記)
そうそう、安価なストーブもあった。
木神楽の事務所で使っているストーブは、本体価格7500円だ。
これは薄い鉄板で出来ていて、軽くて設置も簡単。
ただし寿命は2〜3年、燃費が悪いので薪がたくさん必要、火の微調節がしにくいなど性能は劣るが、これでよければ安価で設置は可能である。
先日から始まった古民家改装工事。
ここのお客様も当然ながら、薪ストーブを望まれた。
幸いお客様には、薪を準備していく覚悟と心構えがしっかりと備わっていた。
何よりも長年の夢であったというのだから、これは取り付けるしかないだろう。
そして、この海の見える家リフォームは、薪ストーブの設置から始まることになる。
海が見えるというから海岸近くにあるのかといえば、そうではない。
ここは標高200mを越す山の中腹なのだ。しかし目の前に遮る山などが無く、眺めが素晴らしい。
遠くに津の町を見下ろし、その向こうに伊勢湾、そして知多半島までが見える。
さて、ストーブを設置するのは、なるべく家の中心近くが良い。
ストーブから放射線状に広がる熱を無駄なく活かせる為だ。
この海の見える家では、このリビングダイニングの一角に設置する。
もちろん家の中心に近いところだ。
そしてまずは、煙突を通すためのチムニーを作る。
チムニーとは、屋根の上に突き出た煙突部分。いわゆるサンタさんが入るような煙突をイメージしてもらえると良い。
その1
屋根の瓦をめくり、天井に穴を開ける。
瓦をめくって、しばし悩む坂下氏。
実際、屋根に穴を開けるのは簡単だが、問題は雨が入らないようにすることだ。
そのための納まりは簡単でない。特に瓦屋根の場合、不可能ではないが難しい。
その2
四角いチムニーを作り、それを屋根の上に設置する。
チムニーは内部を防火・耐熱のために耐火ボードを12mm厚で貼る。
そして屋根の上に設置されたチムニー。
写真は、雨が入らないように、ブルーシートで養生中。
この後、板金屋さんと瓦屋さんが、悩みながら雨仕舞いをすることになる。
続く