手刻みとは?〜木と土の家建築中

手刻みとは、大工が構造材を加工すること

今は工場で加工して現場で組み立てるプレカットが主流である。住宅新築の99%はプレカットであろう。そんな中、木神楽では手刻みで家を建てることが多い。

手刻みの魅力とは

プレカットの方が断然コスト安である。しかしプレカットは金物で補強するのが前提の加工だ。手刻みの利点は、金物に頼らない木と木を組み合わせる家作りが出来る、ということだろう。いわゆる日本に古くから伝わる伝統的な構法である。実は、我々大工にとっても手刻みの現場というのは、楽しみの一つでもあるのだ。そんな家づくりを注文してくれるお施主様には、感謝の気持ちしかない。

さて今日は、そんな手刻みの新築現場を紹介したい。

現在、荒壁も乾き、造作工事に入っている現場。

手刻みの様子

手刻みをする為には、まず墨付けという工程を行う。文字通り加工するための墨を付ける、大変重要な工程である。ここを担うのが棟梁と呼ばれる役目でもある。

この家の棟梁を務めるのは、弟子の枡屋だ。うちに来て6年、立派に棟梁を務めるまでになった。
棟梁が墨付けした材料を、職人が刻む。
丸太を刻む職人。ここでは、前挽鋸という昔の木挽きが使っていたのこぎりを使っている。

刻みを終えた丸太の梁。
全部が刻み終えたら、工房で差し合わせを行う。うまく組み合わさるよう、微調整を行うのだ。
差し合わせされた仕口。ぴったりと納まっている。
加工が終わった材料には、仕上げのカンナがけを施す。

そうそう、刻みを手伝いに来てくれていた友人大工のI山氏が、その時の様子を動画でアップしてくれているので、見てもらうと良く分かるだろう。まずは刻み編。

この動画にもあるように、実はこの刻みは去年の夏のことだ。なぜ今頃造作に入っているかというと、間にお施主様のセルフ施工を挟んでいるからなのだが、それはまた別の機会にお伝えする。

そして仮組み編

仮組みをしといて、木が乾燥してクセが出た後に、本番の差し合わせをやっている。

次回は、この家の上棟の様子をお伝えしたい。


I山大工のyoutubeチャンネルはこちら↓

木神楽で建てた手刻みの家はこちら↓

大工歴30年、小さな工務店社長が綴る独断と偏見のBlog。 《木神楽》青山高原の麓に工房を構え、木と土の家・古民家再生・タイニーハウスなどを主に手掛ける。お役に立てることがあれば、何でもご相談を。