建て前の楽しみ〜美杉の森の中の家

施主様は人気レストランのオーナー

建て前の日は特別で、お施主様にお昼を用意してもらうことが多い。そして何と言ってもここのお施主様は、人気レストランのオーナーシェフである。もう朝から、お昼ご飯が楽しみで仕方ない。

待ちに待ったお昼ご飯は、鹿カレー。よく煮込まれて柔らかくなった鹿肉がゴロッと入っている。薬味は山椒の葉。

このカレーがとにかく美味い。実はこれは、イベント時の定番人気メニューだ。おかわりも用意してもらってあり、皆たらふくいただいたのだ。

では仕事の話に戻ろう。

屋根仕舞い

建て前とは通常、屋根の野地板まで張って完成とするのだが、それを屋根仕舞いが終わる、と言う。屋根じまいが終わるまでは、大工も気が抜けない。

この家では、屋根じまい=室内の天井仕上げ、となる。ではその過程を見てみよう。

まずは登り梁の上に、化粧野地を貼る。杉をフローリング加工した厚板だ。写真はその上に断熱層を作るための垂木を打っているところ
煙突が貫通する部分。内法450mmになるようくり抜く。
断熱材は、杉樹皮とパルプで作られたフォレストボード。
そのフォレストボードの上に、くん炭を敷き詰める。くん炭とはもみ殻を炭化させたもの。土壌改良剤としてよく使われるが、ここでは断熱材の補助的役割になる。効果は未知数だが炭のチカラ(保水性・吸水性に優れ、空間を浄化すると言われている)に期待しているところもある。
その上からは、タイベック(透湿防水シート)を貼る。
その上から、屋根下地となる野地板を施工。この上にルーフィングを張る。屋根仕上げはガルバリウムの波板。波板の隙間が通気層となる。

断熱層は、実質物足りないかもしれない。しかし、なるべく土に帰る素材を利用、通気を重要視、そして環境に負荷をかけない建築を心掛けた結果だ。

そして建て前終了。大工と施主様とで記念撮影。
斜面上側から見ると、屋根は飛び乗れるくらい低い。

これで、建て前は終了。あとの工事は、基本お施主様のセルフビルドとなるのだが、少し大工もお手伝いして完成までいった。また完成写真はどこかの機会でご紹介する。

下から見上げると2階建てのようだが平屋だ。


お施主様オーナーのお店情報はこちら。予約が必要なのでご注意を。なお、鹿カレーは普段のメニューにはありません。→ 日本料理 朔

大工歴30年、小さな工務店社長が綴る独断と偏見のBlog。 《木神楽》青山高原の麓に工房を構え、木と土の家・古民家再生・タイニーハウスなどを主に手掛ける。お役に立てることがあれば、何でもご相談を。