斜面に礎石を据える

建てる場所を決めるのに、一体どれだけ時間が掛かったのか、どれだけの数の模型が作られたのかは分からないが、施主様と建築家のやり取りは長い時間が掛かったようだ。最終的に決まった場所は、お店からの眺望にはあまり影響を与えない、山の中腹である。

木々が生い茂るその場所は、これから家が建つとは想像も付かない
建築家が作った最終模型。
うちで描いてみた、家が建つイメージ図。まさかこれが実現するとは思わなかった

基礎をどう作るかで、ずいぶん悩んだが、最終的には施主様の決断で、石場建てにすることになった。この家作りでは、設計からの全ての工程で、施主が参加しイニシチアブを取っている、施主施工だ。施主様はセミプロと言ってもいいだろう。そして何より住むのは自分であるからこそ、この大胆な家作りが可能になったのであろう。

地縄張り。かなりの傾斜があることが分かる

基礎石を据えるのは、施主様と、いとか工務店の今西氏だ。今西氏は、伊賀石場建ての家松阪の土壁の家でも同じく基礎石を据えている。ここの家作りは、基礎石をいかに据え置くかが重要だ。今西氏なしでは、この家作りは成し得なかったであろう。

右上に見える母屋から一段下がったところに計画された。
ユンボを操作する今西氏。斜面を段切りして、石が座る場所を作る。

施主様と今西氏によって据えられた礎石。

ビシャンで叩いて石の天端を整える。

つゞく

作例より→ 伊賀石場建ての家  松阪の土壁の家

大工歴30年、小さな工務店社長が綴る独断と偏見のBlog。 《木神楽》青山高原の麓に工房を構え、木と土の家・古民家再生・タイニーハウスなどを主に手掛ける。お役に立てることがあれば、何でもご相談を。