手刻みとは、文字通り、手で木を刻む(加工)すること。今の世の中では、おそらく99パーセントの新築住宅はプレカットという工場加工で、大工自身が手で刻むことは少ない。またそれが出来る大工も今や少ない。
木神楽では、手刻みで家を建てることが多い。新築で半分くらいの棟数は手刻みだ。プレカットも手刻みもそれぞれ長所短所あり、どちらがいい、悪いとは言わない。ただ大工職人としては、圧倒的に手刻みの方が面白いしやり甲斐がある。特に伝統工法に適しているのは、木組みの粘りを生かせる手刻みだ。この伊賀の家は、伝統的な木組みを生かした家づくりであり、当然ながら手刻みだ。
構造材は、良質な天然乾燥の杉と檜を使用した。もちろん地元三重県産。調達先はNPO法人もりずむ。ここは天然乾燥と月齢伐採にこだわって、良質な木材のストックが豊富なところである。
手刻みの様子
手刻み終盤の写真しか残っていないが、その時の様子を少し。
手刻みをするには、広い作業スペースが必要だ。ちなみにうちは父親の代から引き継いだ広い作業場があるので、その点は楽勝だ。場所も山の中なので騒音問題も起こらない。何より自然の中で仕事をするのは、大変気持ちが良いのだ。
つゞく