床に張るのは、厚30mmの杉板。
天井も床も杉づくしである。
今、日本では杉花粉で問題となっているように、戦後に植えられた大量の杉の木が伐採時期を迎えつつある。
そのおかげで、こんな厚みのある杉板もどんどん贅沢に使えるのだ。
厚みがあるので、板自体に断熱や蓄熱性能も期待できる。
杉というものは、非常に柔らかく、そしてその上を裸足で歩いた時に冷たく感じにくい。
杉の繊維は、いわゆる多孔質で空気を多く含む。そのことで室内に近い表面温度になるのだ。
もちろん、調湿性能も高い。
そして、柔らかいということは、傷つきやすい。
この床の上を、何か重いものを引きずったりしたら、また椅子を何度も引きずって動かしたりしてたら、表面は凹んでデコボコし、またささくれ立ったりもしてくるであろう。
凹んだ場合は、濡れ雑巾をその上に一晩くらい載せておくと、少々の傷ならふやけて元どおりに膨らむ。
そうならない場合は、厚みが30mmもあるのだから、表面を少々削っても構わない。
しかし経年変化の証として、傷や汚れを楽しんで貰えたら、と思う。
住まうことで、アンティークな家にしていくのだ。