この写真は、先日古材を貰ってきた家の解体される前の写真である。
実はこの家は、僕も所属する津ヘリテージマネージャーズが、約1年前に調査していたのだ。自分はその時はあいにく参加出来なかったのだが、その時の調査報告書を、先日の古材レスキューに同行してくれた島村氏が送ってくれたので、ここに記そうと思う。
伝承によると、この家は元藤堂藩の別荘として建築された。そして昭和9年頃に、現在の場所に移築された。
調査で棟札は見付けられなかったが、野地板にあった墨書きには文化十二年(1815年)とあり、装飾が施された違い棚の裏に落款があり、作者が土佐光: 安永9〜嘉永5(1780-1852)と判明した。
そして間取りの調査では、玄関が無かったことから、移築する前は大きな建物の一部であっただろうと推測される。
以上のことにより、おそらく最初に建てられたのは江戸時代後期、今から約200年前らしいことが分かる。
なお違い棚は、胡粉と膠による伝統的な筆書き装飾らしい。これらは施主にて取り外され、保管されているとのことだ。